シルク下着の効果・効能(抗菌・防臭編)
シルクの効果・効能の中で下着や靴下のセールスポイントとしてよく見かけるのが「抗菌・防臭」です。本当にこれらの効果があるのか?繊維業界に30年在籍の私が「抗菌・防臭」について注意すべき点をお話したいと思います。
シルクには菌を増やさない「静菌作用」という特性がある
「抗菌」と言えば 菌と戦ってくれてやっつけるイメージがありますよね。
でもシルクのには菌と戦って死滅させる殺菌効果はありません。
厳密に言うとシルクに菌がついたとしても「菌は死滅せず増加しない」というのが正解です。
この特性を静菌作用と呼ぶそうです。実際に大学でもシルクをゲル状にして菌の増殖について研究されています。
引用:シルクの知られざる力!~千年先を守る研究
衣料品はゲル状のものとは形状が異なりますが、シルク自体には抗菌性があると科学的にも立証されていると言えます。
シルク全てに静菌性が当てはまるとは限らない
静菌作用はとても素晴らしいシルクの効能ですが、シルク下着の場合全てに静菌性が当てはまるかと言うと それには疑問符が付きます。
安い絹紡糸や紬糸などは独特の変な匂いがする場合があります。これはシルク糸の前工程でキビソなどの不純物を取り除く作業がキチンと出来ていなかったり、精錬が中途半端だったり、不純物が雑菌の餌となり増殖してニオイのもとになっている場合があります。
なので、値段の安い粗悪なシルク下着の中には精錬不足や不純物残留によりこの静菌性が活かされていないものがあるという事も理解しておいてください。
精錬をキチンと行っている生糸は静菌性が高い
生糸はマユから直接取り出したフィラメントであります。そのフィラメントを精錬し表面をおおっているセリシンを取り除くことで 艶やかな艶が得られます。
マユの選別で生糸用として生き残った糸は元々不純物は少ない上に精錬もしやすいので きれいな色に染まるわけです。
また私の経験上、生糸を染める染工場は特に精錬をきちんと行っているケースが多いです。そうしないとせっかくの高級シルクがきれいな色に染まらず 顧客からクレームを要求されるからです。
精錬をきちんとした生糸は不純物が付着するという不安要素がなくなり、シルク本来の静菌効果が長く続くと言うことになります。
防臭効果について
「抗菌」とセットでよく「防臭効果」がついてくることが多いですが、これは細菌の増殖による腐敗がニオイの基になる事が多いからです。つまり静菌性、抗菌性があれば菌の増殖が少なくなると言うことから防臭性が付加されるというわけです。
ですが、あくまでも「抗菌・防臭」の効果はあくまでも条件次第ということを覚えておいてください。たまにシルク製品を洗わない方がいらっしゃいますが、シルク下着は「洗わなくても臭くならない」ということはまずありえません。それに殺菌効果はないので靴の中に雑菌があった場合などは シルク靴下をはいたぐらいではニオイは取れません。
「抗菌・防臭」効果はシルク下着の中に雑菌の数が少ないのが大前提で、あとから菌がたくさん付いてしまえばどんなシルク下着でも臭ってきます。この事はきちんと覚えておいてください。
今まで「シルク下着は洗わなくても大丈夫」と言う人を何人か見かけました。しかし直接肌に着けるものなので当然皮脂や汗からでる不純物も衣類に付着しているわけですから それらが雑菌の餌となり蓄積されると雑菌の温床になりますので 必ず洗濯はしてください。
抗菌・防臭のまとめ
消費者にとってもう一つ効果のわかりにくい「抗菌・防臭」効果ですが
- シルクの抗菌性は菌を殺す殺菌ではなく菌が増殖しにくい静菌作用である。
- 粗悪なシルク下着では精錬不足・不純物残留により抗菌どころか変なニオイがする。
- 生糸は精錬をきちんとしているので静菌性は高い。
- 防臭効果は条件次第。菌がたくさん付着すれば雑菌は増殖しニオイがする。
- 着用したら洗濯をしなければ「抗菌・防臭」効果は得られない。
ということになります。
シルクは菌の繁殖を抑える効果はありますが、過度に期待して「シルク下着を着れば臭くならない」と言った誤った知識を信じないように!
大事なことは 殺菌=抗菌(静菌)という誤った情報に惑わされない事!
せっかくの高級素材なので 正しい知識でシルク下着を選びましょう!
これからも 気持ちよくシルク下着を買っていただけるようアドバイスします!
最後までお読み頂きありがとうございました。
最後にちょこっと宣伝。
シルクは静菌効果の高い高級5A生糸のみを使用。お肌に優しい下着ショップシルクチュールにもぜひお立ち寄りください!