シルク下着選びの落とし穴。「正絹(しょうけん)」という表示にご用心
「正絹(しょうけん)」という言葉は、本来 和装の世界において混じりけのない絹100%を指す、信頼と伝統の証です。
着物であれば、その独特の重厚感や風合いを「正絹」と呼ぶことに何の違和感もありません。
しかし、「シルク下着業界」においては、この「正絹」という言葉が少し都合よく使われすぎているのではないか。私たちは、製造の現場から強い違和感を感じています。
下着業界における「正絹」の乱用
今、ネットショップでシルクインナーを探すと、結構な確率で「正絹」という文字が出てきます。
「着物と同じ高級な絹なら、肌に最高に良いはず」
そう信じて購入される方が多いからこそ、この「正絹」という言葉が「品質の低さを隠すためのラベル」になってしまっている可能性があります。
実は、下着に使われる「生糸(きいと)」には、世界共通の厳格な格付けが存在します。同じ絹100%(正絹)であっても、その中身には天と地ほどの差があるのです。
4Aランク以下の生糸と、消えない「黒い点」の正体
皆様は下記のような趣旨の注釈が小さく添えられているのを見たことはありませんか?
「天然素材のため、生地に黒い点(節)や引っ掛かりがある場合があります。不良品ではございませんので 何卒ご了承ください」
このような表記は長年糸に携わってきた私からすれば、「格付けの低い4Aランク以下の生糸を使っています」と告白しているようなものです。
・4Aランク以下の生糸:生糸の中では比較的安価で、糸に太い節があったり、繭のカス(黒い点)が混じりやすいグレードです。
・その結果:肌着に仕立てた際、その節が肌に当たってチクチクしたり、嫌なにおいを発生させる原因になります。
これを「天然素材だから仕方ない」「正絹だから高級だ」という言葉で表現し、お客様を納得させるのは、肌に直接触れる下着を作る者として不誠実ではないかと思うのです。
私たちが「5Aランク」にこだわる、絶対の理由
下の画像は当店で使っているシルクがきちんとした検査機関(中国の公的(政府系)機関)でしっかり認証された証明書です。(2025年に製造分)

以下 資料の解説です。(ごまかしたくないのでちょっと専門的になってしまいました。すみません)
【潔浄度(Neatness / 潔浄)】今回の数値:94.10点
糸の表面に微細な「節(ふし)」や「毛羽立ち」がないかを確認する項目です 。100点満点中、5Aランクを維持するためには非常に高い均一性が求められます 。94点台という数値は、肌着にした際に引っ掛かりがなく、極めて滑らかな肌触りであることを証明しています 。
【清潔度(Cleanness / 清潔)】今回の数値:98.7点
大きな節、塊、あるいは繭のカスといった「目立つ欠点」がないかを確認します 。98.7点という数値は、不純物がほとんど混入していないことを意味します 。4A以下の糸で問題になる「黒い点」などは、この数値が低い場合に発生しやすくなります。
【断裂強度(Tenacity / 断裂強度)】今回の数値:3.86(グラム/デニール)
糸を引っ張った際に、どれだけの力に耐えられるかを示します 。3.86という数値は、生糸(フィラメント)ならではの強い耐久性を持っている証拠です 。5Aランクに認定されるための断裂強度の標準的な基準値は、一般的に 3.70(グラム/デニール)以上
【抱合(Cohesion / 抱合)】今回の数値:107回
生糸を構成する数本の細い繊維が、バラバラにならずにいかに一束にまとまっているか(抱き合っているか)を測定します 。この数値が高いほど、摩擦に強く、毛羽立ちにくいしっかりとした糸と言えます 。5Aランクに認定されるための抱合回数の標準的な下限値は、一般的に 100回以上
当店では この様に 毎回 生地にする前の糸を品質チェックしています。
私たちは、「言い訳」が必要な素材を下着に使いたくありません。
だから当店は、厳選された最高峰「5Aランク」以上の生糸のみを使っています。
4Aと5A。わずか一ランクの差ですが、肌着としての完成度は全く異なります。
・5Aは、不純物が極限まで取り除かれ、真珠のような光沢を放つ
・5Aは、糸が均一で、節による引っ掛かりやチクチク感が一切ない
・5Aは、洗うほどに肌に馴染み、とろけるような滑らかさが続く。
デリケートな素肌に纏うものだからこそ、節や汚れが混じる素材は、私たちの基準では「高級シルク下着」とは言えないのです。
賢いシルク下着選びのために
もし、あなたが「正絹」という言葉の響きだけでインナーを選ぼうとしているなら、一度立ち止まって 上記のような「小さな注釈」を探してみてください。
「天然素材」や「自然に近い」という言葉で、品質の低さを正当化していませんか?
その注釈すら無い様であれば それこそご用心を!
私たちは、曖昧な「正絹」という言葉でごまかすのではなく、「5Aランクの生糸という揺るぎない事実」で、お客様に本物の心地よさを届けたい。
本当の高級シルク下着には、小さな文字での言い訳は必要ありません。
一本の長い、最高級の生糸だけが持つ「本物の肌触り」を、ぜひあなたの肌で実感してください。
※一切ごまかしのない、最高峰の肌触りをお届けします。